幻に終わったセガサターン版バーチャファイター3 ー おそらくそもそも実機で動いているビルドは存在しない

1996年にModel3基板とともに登場した「バーチャファイター3」は当時としては最高峰クラスのグラフィックでゲーマーに衝撃を与えました。(ゲームシステム自体もエスケープボタンによる軸移動やアンジュレーションの導入など意欲的だったのですが、こちらは不評で続編のバーチャファイター4以降では再び3ボタン構成に戻っています)

そんなバーチャ3ですが、アーケードでの稼働から割とすぐ当時現行ハードだったセガサターンへの移植がアナウンスされました。正直Model1基板の初代バーチャ、Model2機版のバーチャ2ですら当時の基準では完全移植と言っていい素晴らしい完成度ではあったものの、アーケード版の完全再現には至っていなかったので「本当に移植できるのか?」という不安はありましたが、当時のセガサターンマガジンやテックサターンと言った専門誌で鈴木裕さんが「AM2研であればバーチャ3をサターンに移植できる」と豪語していたこともあり、「グラフィック面での完全再現は難しいけどデイトナやバーチャでアーケード版のフィーリングをうまく移植できていたし大丈夫だろう・・・」と思ってかのあゆも楽しみに待っていました。

移植発表があった96年末にリリースされた「ファイターズ・メガミックス」は突初かつ短期間で開発されたタイトルだったとは言え、バーチャ3の軸移動と一部新技が実装(+隠しキャラでバーチャコップ2からのゲストキャラだったジャネットが実質葵)されていたので余計期待も高まっていたのですが・・・

年が明けて97年になっても実際のスクリーンショットは公開されず、「そもそも本当に開発しているのか?」と不安に感じていた中、98年にセガ最後の家庭用ゲームハードとなったドリームキャストが発表、ローンチタイトルとしてアッパーバージョンとなる「バーチャ3tb」の移植が発表され、そのままサターン版はお蔵入りとなってしまいました。 正直サターン版バーチャ3は前述の通り「そもそも実機で動く段階まで至らないまま開発中止になっていた」というのが現実だったとおもいます。移植できると豪語していた鈴木祐さんはサターン版バーチャ3ではなく、後にシェンムーとなる「プロジェクト・バークレイ」(こちらはサターン実機で動作していたビルドあり)に全リソースを割いていたので最初から開発すらしていなかった可能性すらあり得そうです。なおネット上で出ているサターン版とされるスクリーンショットはおそらくModel3エミュレーターのSuper Modelのものです。

ハードウェアパワーの差があまりにもありすぎたとはいえ、20年経った今でもやっぱりサターンで動いている「バーチャ3」を実際に見たかったというのは正直思うところではあります・・・

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