初代林檎時計がオブソリート商品リストに追加 ー 約130万〜220万円で販売されていた最後の超高級モデル、「Edition」も対象。9年で金としての価値以外はない文鎮に退化。

発売から9年でただの文鎮に退化した初代林檎時計 Edition iOS

発売から9年でただの文鎮に退化した初代林檎時計 Edition

初代林檎時計が発表から10周年を迎える前にApple、およびApple公認サービスプロバイダーによる有償修理サポートを受けられなくなる「オブソリート」商品リストに追加されました。

初代林檎時計は2014年9月10日に開催されたイベントでiPhone 6/6 Plusとともに発表され、翌年2015年4月より日本を含む全世界で販売を開始しました。SoCはApple A5ベースの「Apple S1」で、iOS(さらに言えばmacOS)のサブセット版となるwatchOS 1.0をプリインストールしていました。最終的にwatchOS 4.3.2までアップデート可能です。

一応スマートウォッチという製品自体は林檎時計が発表される前から存在していましたし(最初の製品といわれているのは1985年に登場したEPSONの「RC-20」、それ以降もセイコーのLaputaや現在もWear OS搭載スマートウォッチを販売しているFOSSILの「Wrist PDA for Palm OS」といった製品が投入されていました)、AndroidベースのAndroid Wear(現Wear OS)のほうが林檎時計より先に発表されていましたが、昔から宗教的な人気を誇るAppleから投入された上に既に日本含めiPhoneユーザーの数が増えてきた時期だったのでガジェットメディア以外でも話題になりました。

現在でも高級時計メーカー、Hermesとのコラボレーションが継続していますが、当時は何をとち狂ったのか本当に高級時計として売り込もうとしていたようでケース(いわゆる筐体)とバンドの金属部に18金を、ディスプレイに高級腕時計でも採用され、現時点で最強クラスの硬度を誇るサファイアガラスを採用した超高額モデル、林檎時計 Editionが投入されたことも話題になりました。

販売価格は128万円〜218万円!という気が狂った値段で誰が買うんだろうとは思っていたのですが、実際世界的に見て売れたのは最初の2週間のみで後述する初期モデル故の完成度の低さと触感タッチをコントロールしているTaptic Engineが長時間使用時にさびやすいという、腕時計としてはあまりに致命的な問題を抱えていたこともあって最終的に日本でも165万円のモデルが70万円に大幅ディスカウントされる始末でした・・・70万でも欲しいかと言われれば正直微妙ではあるのですが・・・

これ以降林檎時計は狂ったような超高級モデルは投入しなくなり、現在販売されている最新モデルで最も高価な林檎時計S9 Hermes 45mmモデルでも約20万円程度に収まっています。

初代林檎時計はApple A5をデチューン(デュアルコアからシングルコアに変更)したApple S1を搭載していましたが、性能面でまだパフォーマンス不足感があった上に当時はGPSも内蔵していなかったため、母艦となるiPhoneがいなければmacOSベースのOSが動いているだけの腕時計(と最低限のフィットネストラッキング機能)しか使うことが出来ませんでした。

さらに言えばOSのメジャーアップデートごとにさらに動作が重くなっていったため、「話題になっていたから買ったけど結局売った」という方もかなり多かった記憶があります。

スマートウォッチとしてだけでなく、普段使いする腕時計としても十分実用的に使えるようになったのは2017年に登場した林檎時計S3あたりからなのではないでしょうか。このころになるとガジェット好きではない一般ユーザーにも認知度が上がっていたことや、日本でもモバイルSUICAが利用可能になったこともあって街中でよく見かけるようになりました。

あくまでガジェット商品のため、カシオのG-SHOCKの方に本当に10年・・・どころか20年、30年も使っていけるような実用品としての腕時計や、古いモデルだと骨董的な価値が付くロレックスのような超高級腕時計と比べるべきではないのですが、さすがに130万〜200万ちかく出した商品が14年後には実用出来ない高級文鎮まで落ちるのはどうなのかな・・・なんてことは感じています。

初代Editionは世に出回った数が少ないので未開封品であれば今後プレミアが付くこともあるかもしれませんが・・・初代iPhoneなんかは今や神格化してしまった「スティーブ・ジョブズ氏が生んだプロダクト」という付加価値もついてebayなどのオークションサイトの値段が狂ったことになってしまっているので、ティム時代に生み出された初代林檎時計の場合その辺はあまり期待しない方が良さそうです。

今や必需品に

初代は正直未完成品でしたし、スマートウォッチというジャンル自体かなりニッチだったので多分かつてのPowerMac G4 CubeとかPipinみたいにすぐにディスコンになってAppleの黒歴史製品に加わるんだろうな・・・と思っていたのですが、アップデートを重ねることに進化した結果、「ないと困る存在」にまでなってしまったことを考えると本当にガジェット関連は未来が予測できないな・・・ということを感じました。

関連リンク

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